「瞬間英作文」をご存知でしょうか?
「とにかく英語で話せるようになりたい。」
そんな風に考え、行動している人は一度は「瞬間英作文」という勉強法と、どうやら英会話に効果があるらしい!という噂を聞いたことがあると思います。しかし、本当に効果はあるのでしょうか?
瞬間英作文の効果はどんなもの?期間はどれくらい勉強するべき?
しかも教材が多く何から手をつけていいかわからない・・・
私(モトキ)もアラサーになってから、初めて瞬間英作文というトレーニング方法を知り、留学前の3ヶ月に色々な勉強をやり込んだのですが、短い準備期間ながら、海外留学後の英会話で最も効果を感じたのが瞬間英作文でした。
私は中学生の時点で英語を断念、一番英語力が高いはずの大学受験後にTOEIC448点、その後7年間英語に触れず・・・と英語を避けに避けてきた人生でした。ある日突如、海外留学を思いつき3ヶ月間、突貫で英語を勉強することに。勉強開始時点では、ほぼ初心者同然の状態でした。
そして留学8ヶ月目の今も、少しずつやり方や内容は変えながら瞬間英作文、「素早く英文を作る練習」を続けています。
今回は、最初の3ヶ月という期間で感じた瞬間英作文の効果と、そのやり方。また、その後も様々な教材で瞬間英作文を続けてきた経験をもとに、おすすめの教材をお伝えします。
瞬間英作文の基本は、
「日本語の文」を読む・聞く → 「英語の文」**にすぐに直して声に出す**
という勉強方法です。
「瞬間英作文」という言葉は、「瞬間英作文シリーズ」の著者である森沢 洋介氏によって作られました。
1冊目がベストセラーとなり、色々な種類の瞬間英作文本が出ています
英語は日本語と語順が異なること。基本的に中学校、高校では英語を読む勉強が中心のため、私たちは瞬間的に英語を口に出すことに慣れていません。
たとえば、下記は『どんどん話すための瞬間英作文トレーニング (CD BOOK)』に実際に載っている問題文です。これを読んですぐに英語に変換できますか?
以下が答えになります。
正直、詰まることなくパッと英語に変換できる人は多くないと思います。
私は当初まったくできませんでした。1の問題なんて、勉強する時だからWhen I study・・・あっ「彼女」か!違った!!というレベルでした。
しかし、瞬間英作文は**こうした訓練を集中的にすることで、強制的に英語を口に慣らしていきます。**
会話は、ただ読むだけ、聞くだけ以上に非常に脳を酷使します。
英会話をする以上、「相手の話を聞く」「理解する」「自分の考えをまとめる」「それを口に出す」この一連の流れを踏まえ、ぽんぽんと思ったことを口にできるようにすることはマストです。
英語を、いかに口に出し慣らしていくか。これが瞬間英作文のトレーニングとなります。
私が最初の3ヶ月で行なったのは、森沢氏の『どんどん話すための瞬間英作文トレーニング (CD BOOK)』をとことんやりこむことでした。
最初の1冊を3ヶ月やり込んだ時点で実感した効果についてご説明します。
まず最初に思い知ったのは、いままで文法は知っていたけれど、ひとつも使えていなかったということ。
中学文法を使った英語を、のんびり考えながら書くことはできても、「話す」になると途端に難しい。
たとえば、自転車の乗り方を説明書や人の説明で知ってはいたけれども、実際に乗るとなったらまったく別物。今までの英語はあくまで「知識」で、実用レベルでは全く「習得」できていなかったことを実感しました。
しかし、瞬間英作文の訓練を徹底的に3ヶ月間行うことで、初めて「主語」のあとに「動詞」が来る。そのあとに目的語などが続く・・・といった英文法を脳と身体にインストールしていきました。
その結果、通常の英会話の中でも、日本語の順番(目的語→動詞)で言葉を口に出すことなく、「主語」を最初に、「動詞」を次に・・・といった文法を間違えることがなくなりました。
瞬間英作文は、日本語を英語に変換していくトレーニングです。
が、先述の通り英文法を徹底的にインストールしていくことによって、**いちいち日本語を考えて翻訳しなくても、最初から英語で話すことができるようになっていきました。**
たとえば、目の前の光景を英語で口に出す。となった際、
目の前の光景→「机の上にノートパソコンがある。」→「There is a laptop on the desk.」
ではなく
目の前の光景→「There is a laptop on the desk.」
と、自然と口に出せるようになっていきます。
普段、「目の前の光景」に対し、日本語は「机の上にパソコンがある」という言い回しを瞬間的に作り出せますよね。
それと同様に、瞬間英作文のトレーニングを繰り返していくと、
「『〜がある』という光景」を見たときに、それは「There is〜」だ
と瞬間的に自身の考えを表現に繋げ、英語を引き出すことができるようになっていきます。
また、英語の語順がしっかり頭に入っているため、英語リスニング中に文法で混乱することもなくなっていきました。
英語の構文が頭に入っているので、そこに単語を埋めていく感覚。英語で考える脳が出来上がっていきます。
上記の文法のインストール、英語→英語変換が速くなっていくことにより、実際の英会話での瞬発力が格段に上がりました。
私は瞬間英作文、ボキャブラリーの強化、発音矯正、オンライン英会話の4点を3ヶ月という短い期間で集中的に行いましたが、最初オンライン英会話を始めたときは目も当てられないレベルでした。
正直初期の頃のオンライン英会話はお金の無駄だったと思っているのですが、瞬間英作文のトレーニングを集中的に行うことで英語の苦手部分が大きく改善されていきました。
会話での瞬発力を鍛えるためには瞬間英作文が一番効果があると思います。
瞬間英作文は日本語を英語に瞬間的に翻訳していくトレーニングになりますが、正直慣れるまでは、難易度の高いトレーニングになります。
また、瞬間英作文トレーニングの方法にも段階があるのですが、最初からいきなりレベルの高いことをやろうとすると速攻でこけて挫折します。
そのため、初めて瞬間英作文のトレーニングに取り組む!という方、効率的に勉強し効果を出したい方のために、私が実際に取り組んできたやり方をご紹介します。
まず最初は、目で見た日本語を瞬間英作文する練習からです。
1.で教材の日本語スクリプトを読む部分は、最初の1回目だけは声に出して読むことをおすすめします。
なぜなら、視覚情報のみで読むと、一瞬の処理ではどうしても全ての要素が拾いきれず、必要な単語が抜け落ちた状態で英作文をしてしまうからです。
たとえば、最初に下記の例文をご紹介しました。
この文の場合、英語の文章の構成に必ずしも必要ではない副詞「いつも」という単語が瞬間英作文した時に抜けてしまう。ということが発生します。
瞬間英作文に必要な単語(必要要素)をすべて洗い出すことができるので、最初の1回は声に出して日本語を整理することをオススメします。
その後は、教材の日本語スクリプトを目で読んで、すぐに瞬間英作文することを繰り返してください。こちらの方が瞬発力が鍛えられます。
目で見てすぐに瞬間英作文ができるようになったら、次は視覚情報なしでの瞬間英作文を練習しましょう。
目で読んだ日本語に比べて、格段に難しくなります。
文字情報を読む場合は、作るべき文章のもとの単語が視覚情報で見えているので、瞬間英作文をするときに迷わず文を作ることができます。
一方、「日本語音声→瞬間英作文」の場合は、言うべき文章を一時的にでも脳に記憶させておく必要があるため、脳が「記憶する」「文を作る」という2つのことを同時に行わなくてはなりません。
実際の会話ではもっと複雑な脳の処理行う必要があります。考えながら、相手の言ったことを記憶しながら、何を口に出すか決めてレスポンスをしていく。
その準備段階として、自分が言いたいと思ったことを、脳の中だけで形にし、過不足なく英語に変換するトレーニングを積み重ねていきます。
最後に、慣れてきたら意識してもらいたいのが、日本語音声を聞いた時に、赤字で書いた「光景を想像する」こと。日本語の言葉のイメージから、英語を作り出していく練習です。
これは、日本語で伝えたいニュアンスを抜き出し、「英語で考えて→英語でアウトプットする」。
瞬間英作文で実感した効果の部分でお伝えした通り、瞬間英作文のトレーニングを極めると、目の前の光景を、日本語を介さず英語で表現する「英語脳」が出来上がります。
日本語を聞いた瞬間にイメージを作り、そこで思い描いたことを英語で表現できる引き出しを作っていきましょう。
繰り返しお伝えしますが、瞬間英作文は難しい部類の勉強方法になります。
そのため、教材選びは瞬間英作文のトレーニングの肝といっても過言ではありません。
自分のレベルに合った、最適なテキストや教材を選び、段階的にトレーニングしていくことが一番の近道です。
いきなり難しい教材に挑戦するのではなく、最初はごく簡単な単語しか使われておらず、中学生で習うレベルの文法で構成されたテキストがおすすめです。
瞬間英作文は単語を覚えることや、本でしか出てこないような複雑な文法を使うための学習法ではありません。あくまで英文法をインストールための訓練なので、英語の基礎を体得することに焦点を当てます。
上記の通り、瞬間英作文では英語の基礎文法を習得することが目的です。そのため、文法ごとの項目立てがされている、瞬間英作文用のテキストがオススメします。
単語帳を使って瞬間英作文をする人もいますが、必ずしも全ての必要文法が例文に出てくるかわからないこと(各文法項目を網羅できるとは限りません)。新出単語など難しい単語も出てくることから、単語帳は最初に取り組む瞬間英作文のテキストには向いていません。
また、日本語→英語の変換が難しくなるため、こなれた日本語訳文がついてしまっている教材も、瞬間英作文のテキストには不向きです。
瞬間英作文用につくられた教材でなかったとしても、上記のようなものは避け、できれば例文が多く掲載されている文法書などのテキストを用意するようにしましょう。
瞬間英作文のベストセラーにして決定版!
どんどん話すための瞬間英作文トレーニング (CD BOOK)
初めて瞬間英作文に取り組むならはやりここから。
森沢先生の「どんどん話すための瞬間英作文トレーニング」です。
私がこれを最初におすすめする理由は下記の通りです。
瞬間英作文用の教材選びでお伝えした、注意すべき点を全て押さえていること。
また、瞬間英作文はひたすら繰り返す練習です。そのためあまりに一つの文法項目に対し例文が多いと、正直飽きます。また、例文が少なすぎると文そのものを暗記してしまうので瞬間英作文の練習になりません。
ひとつの文法項目を1ページ10例文程度に整えられているため、同じような文を作り続けるには程よい練習量と言えるでしょう。
一方、瞬間英作文トレーニングにも欠点はあります。
どんどん話すための瞬間英作文トレーニング (CD BOOK)を一通り終えたら、別のテキストにさっさと移ってしまうことをオススメします。正直、この本の文章をひたすら繰り返すのは拷問に近いです。
また、別の瞬間英作文テキストに移る際、森沢先生の他の瞬間英作文シリーズは避けることをおすすめします。内容的に、上記の欠点がそのまま引き継がれてしまっています。
程よく背伸びをしつつレベルアップしていきたいのであれば、以下にお伝えする他のテキストを試してみましょう。
英語のナチュラルさ、文法の網羅性ならコレ!
英語の基本文法の例文が、文法項目ごとに14個ずつ載っています。
『どんどん話すための瞬間英作文トレーニング』の後に、この教材をオススメしたい理由は
著者がネイティブの英語スピーカーなこともあり、実際の会話で使われる自然な英語しかありません。『どんどん話すための瞬間英作文トレーニング』と異なるメリットと言えるでしょう。
瞬間英作文の特訓は何周も、何回も行うため、次第に「文そのものを覚えてしまって瞬間英作文の練習にならない」というジレンマ必ずが発生します。
しかし『毎日の英文法』では、1項目14例文。また、同じ文法項目内で、同じような意味・文構造なんだけれども、細かく語を変化させた例文が複数載っているため、「文そのものを覚える」ことがほぼできません。これが『毎日の英文法』のオススメポイントの一つです。
たとえば「14 過去進行形」のページでは、下記のような例文があります。
このように、似てる、けれど細部が違う例文が多いため、主語に合わせて動詞の形を変化させる必要があり、瞬間英作文の特訓に最適です。
一方、『毎日の英文法』の欠点としては下記の2点が挙げられます
まず、公式の音声は英文のみ、日本語音声がついていないため、日本語音声→英語への瞬間英作文特訓ができません。
しかし、『どんどん話すための瞬間英作文トレーニング』を一通り乗り越えていれば十分その能力はあると言えるでしょう。
その代わり、『毎日の英文法 頭の中に「英語のパターン」をつくる』では、『どんどん話すための瞬間英作文トレーニング』から更に一歩進んだ、下記のような英語能力を上達させることができます。
より口語で実践的な英文法を使いたい!
初級の2冊と比べると、高校で習う英文法にも範囲が広がる、中級者向けの瞬間英作文教材です。
オススメポイントは下記の3点
特に、実生活でよく使われる表現を学べるため、ここで覚えたフレーズを英会話でそのまま使うことができます。実際私もカナダの留学中によく使っている、と思えるフレーズが非常に多いです。
付属のCDでは、日本語音声のあとに英語音声が流れるため瞬間英作文教材としてはバッチリ。少し長めの構文や複雑な文法も出てくるため、『どんどん話すための瞬間英作文トレーニング』ではできてた文法でもこちらの教材になると途端に言えなくなる・・・といった自体も発生します笑
ただ、若干癖の強い教材であることも確かです。
例としては下記のようなものがあります。
日本語文:どう? → 英語文:How do I look?
初見殺しもいいところです。まず何に対しての「どう?」なのかわからないので、瞬間英作文しようがありません。
日本人の「どう?」となった時の感情を英語にしよう!というコンセプトのテキストなので、ごく稀にこうした例文が出てきます。
全体としては、収録されているフレーズなど使い勝手が良く上質な英文なので、初級の2冊の教材よりも手強いテキストに挑戦したい!という方には非常にオススメです。
シチュエーション別の「言い回し」を覚える
絵で見てパッと言う英会話トレーニング 基礎編 (語学書 単品)
こちらも瞬間英作文の教材として有名な一冊になりますが、「番外編」になります。
なぜなら、「瞬間英作文」を目的として作られたテキストではあるものの、シチュエーション別の言い回しフレーズ集だからです。そのため、文法といった概念はありません。
その代わり、「人をパーティーに招いた時」「授業で質問がある時」など、イラストを見て実際のシチュエーション、状況を想像しながら瞬間的に言葉を返す練習をするため、日本語を挟まない英語脳づくり、反射神経づくりにオススメの教材です。
オススメポイントとしては
「こういう時、ネイティブはさらっとこう言うよ」というフレーズの宝庫なので、海外生活をこれからする人、海外からくる人をもてなす人にはとってもオススメです。
ただ、「フレーズごと覚え込んでしまう」「反射神経を鍛える」ことに特化しているため、「覚えておいて損のないフレーズ集」といった役割が強いです。
文法という概念はないため、自身の言葉や状況に合わせて瞬間英作文をする能力を鍛えることはできません。自分の考えを英語で表す能力を鍛えたい場合は、先にお伝えした3冊をやりこむことをオススメします。
瞬間英作文は、あくまで英語の文法をインストールするための手段に過ぎません。
実際の英会話をすらすらできるようにするため、並行して下記の点を鍛えていきましょう。
瞬間英作文でどんなに文法を正しく速く言えるようになったとしても、そこで表したい単語を知らなかったら何も喋れません。
特に「動詞」と「名詞」この2点は何が何でも覚え込んでいく必要があります。
また、喋れるようになるためには「膨大な音声データ」を繰り返し聞き込み、音を覚えること。それを実際に使って定着させることが必要になります。
瞬間英作文で英文法の基礎は全てインストールされます。
実際の会話で、一文一文ブツ切れの英語を話しても良いのですが、より豊かに自分の意見を表現するためには、長文を作っていく能力が必須になります。
特に関係代名詞や、使役動詞、thatを使っての長文化・・・などを使いこなすためには、別の訓練が必要になると感じています。
たとえば、下記のような文をサッと作ることができるでしょうか?
I want to let you know that the eggs I bought yesterday have already run out.
上記の一文を細切れにすれば、瞬間英作文で一文言えるようになっているかもしれません。しかし、瞬間英作文を一通り終えたら、それらを繋げていく練習を行なっていくようにしましょう。
瞬間英作文はあくまで個人内で完結する作業です。
何度もお伝えした通り、会話はより複雑な脳の処理が必要になるため、「瞬間英作文では完璧だけど、いざ自分で文をつくるとメチャクチャ!」ということが多々発生します。
瞬間英作文を頑張っていく!という方は、実際の会話で使えるようになるか。いかに場慣れするかが次の課題になるため、かならず「実際の人と話す」アウトプットの場を作るようにしましょう。
私は、会話のアウトプットの場としてオンライン英会話ネイティブキャンプを使ってました。かなり忙しさに波のある仕事だったので、他のオンライン英会話だと事前予約必須&1日1回だけしか受けられないタイプばかりで厳しく・・・。
ネイティブキャンプは、時間がある時に予約なしで受けられるのと、1日に何回授業を受けてもOKという点がうまく合ってました。休日に数時間使って集中的に受けてました。
3ヶ月間、瞬間英作文をやりこんだ効果は下記の3点です。
瞬間英作文トレーニングを繰り返す中で、改めて英文法の重要性に気づくとともに、受動的(受け身)の英語を能動的な英語に切り替えていくために、非常に効果的な訓練だと感じました。
私と同じように、英語をぱっと話すことができない。話しながら組み立てができない、という方にはとにかくオススメできる英会話の勉強法です。今回オススメした瞬間英作文の教材では、個人的に「毎日の英文法」が、英文の量とか含めて一番好きです。
一方、瞬間英作文はとにかく地味で飽きてくるし正直しんどい英語トレーニング法です。かなりの忍耐力、継続力が必要になるため、「短期的に集中して取り組んでしまう」か、「毎日少しずつでもかならず継続する」どちらかをおすすめします。
外国の方と英語でテンポよく会話できるようになりたい!ペラペラと話せるようになりたい!そんな理想を実現させるためにも、一緒に瞬間英作文を頑張りましょう!